札幌市学校教護協会

ご挨拶

理事長挨拶

理事長 須藤 勝也(札幌市立啓明中学校長)

 札幌市学校教護協会は、札幌市内及び札幌近郊にある学校間の生徒指導に係る連携、協力のネットワークを構築し、組織的に青少年の非行を防止し健全育成に努めている全国的にも珍しい団体です。本協会は大正15年(1926年)に札幌師範学校、第一中学校、第二中学校、札幌工業学校、及び北海中学の5校による校外巡視活動から始まり、今年度で設立96年目を迎えます。

 教護協会の各加盟校には正・副幹事を置き、本協会の様々な活動を進めるとともに、教職員の生徒指導力を高め、各校の生徒指導体制の充実に資することをねらいとしております。さらに、生徒の問題行動の未然防止や事故対応を迅速、的確に行うために、市教委や道教委、児童相談所をはじめ札幌市の子ども未来局や各区役所の少年育成指導室や家庭児童相談室、市内9署の生活安全課や少年サポートセンター、などの関係機関、及び諸団体との連携を図っています。

 都市化、少子化、情報化などが進展するなかで、問題や困り感を抱え支援を必要とする生徒の背景には基本的な生活習慣が身に付いていない、他者とのかかわりが苦手、自己肯定感が低く、耐性や規範意識が育まれていないなどの課題が指摘されています。また、ここ2年間は新型コロナウイルス感染症により、子どもたちの生活や環境が大きく変化しました。学校では授業や学級活動、生徒会活動、行事、部活動などにおいて「制約」がかかり、一方で校外生活でも活動が制限されています。そのためストレスが蓄積して一人で抱え込み、長期化すると身体症状に発展するなどの状況が散見されます。加えて、家庭で過ごす時間が増えることでスマホ利用やゲームに費やす時間が長くなったり、家族間でのトラブルが生じたりしています。

 これらの子どもたちの状況を踏まえ、生徒指導の三つの機能である「自己決定の場を与え自己の可能性の開発を援助すること」「共感的な人間関係を育むこと」「生徒一人一人が存在感をもつこと」を念頭に置き、生徒理解を根底に据えながら支援や指導をきめ細かに行うことが必要となります。さらに、問題を抱える子どもたちだけではなく全生徒の健やかな育ちに向けて心の安定を図り、「学び」の充実のための手立てを講じていくことが喫緊の課題であると考えます。

 現在、本協会は中学校106校、高等学校69校、中等教育学校1校の合計176校の加盟校、また札幌近郊のオブザーバー校を含めると200校あまりの組織となります。さらに小学校長会から本市11地区の代表の校長先生がオブザーバーとして区の研修会などに参加しています。ここで、小・中・高校の校種や公立・私立の学校区分を越えた教員が集い「情報連携」から「行動連携」に対応を進めることは、会に参加される教職員の教育観や指導観、指導力を高めることにつながるのです。

 本協会の事業についてですが、まずは研修の充実を図っています。各地区の幹事研修会を年5回実施しています。区の警察署、児童相談所なども参加し区内の状況や各校の生徒指導の現状を交流します。また、年間4回の全市研修会、さらに自立支援施設等の施設見学を年1回実施しています。全市研修会では生徒指導上の喫緊の課題を踏まえて、そのテーマに識見を有する講師を検討して講演を企画、実施しています。研修の課題の一つには、近年、札幌市でも教員の若年化が進み、ベテラン教師がもっている生徒指導のノウハウを若手教員に広く伝えていくことがあります。その方策としては若手教員の研修会参加の機会を拡充することや、教護協会ホームページの周知を図り協会の取組を普及するなど広報活動の促進が考えられます。

 第二に調査研究です。一つは巡視で、各地区の幹事研修会後に行う地区巡視、少年育成指導員との合同巡視、そして、警察署と常任幹事とで実施する特別巡視があります。それらは生徒の校外生活の現況把握に努めることが目的です。さらに、各校の「旅行的行事」や「学校祭や定期テスト」の日程、及び地区の「神社例祭」の日取りを調査して協会ホームページに掲載しています。各校では、校外生活における他校生徒の動向を把握したり、修学旅行の自主研修等の行程を決める際の参考にしたりします。

 最後に毎年発行している本協会の機関誌「はぐくみ」です。1年間の協会の活動の報告書になっており、各種研修会の講演内容の記録を逐語形式で掲載します。さらに、各地区の幹事から「自校の生徒指導に係る取組や課題」などについて寄稿していただき掲載しています。これらは札幌市教員の生徒指導力の向上を図るための貴重な実践資料であり、各校の生徒指導体制の充実に資する大切な研修資料ともなるのです。

 これからも、札幌市学校教護協会に加盟する学校やオブザーバー校の先生方はもちろんですが、保護者や地域社会の多くの人々に「札幌市教護協会」の活動に御理解、御協力いただけるよう、時代に即した生徒指導の意義や課題、進め方などについて実践研究を継続していきます。そして、昨年度は研修会や巡視、施設見学などコロナ禍で活動を中止したこともありました。ぜひ、次年度は様々な活動を滞りなく円滑に実施して、札幌市の子どもたちの健全な育みを推進していきたいと考えております。