札幌市学校教護協会

ご挨拶

理事長挨拶


石井 貴司 (札幌市立東白石中学校長)


 札幌市学校教護協会は、札幌市内及び札幌近郊にある学校間の生徒指導に係る連携、協力のネットワークを構築し、組織的に青少年の非行を防止し健全育成に努めている全国的にも珍しい団体です。本協会は大正15年(1926年)に札幌師範学校、第一中学校、第二中学校、札幌工業学校、及び北海中学の5校による校外巡視活動から始まり、今年度で創立100年目を迎えます。

 教護協会の各加盟校には正・副幹事を置き、本協会の様々な活動を進めるとともに、教職員の生徒指導力を高め、各校の生徒指導体制の充実に資することをねらいとしております。さらに、生徒の問題行動の未然防止や事故対応を迅速、的確に行うために、北海道教育委員会や札幌市教育委員会、札幌市児童相談所をはじめ、札幌市子ども未来局や各区役所の少年育成指導室や家庭児童相談室、市内9署の生活安全課や道警少年サポートセンター、家庭裁判所や少年鑑別所などの関係機関、及び諸団体との連携を図っています。

 近年、子どもたちを取り巻く環境が大きく変化する中、いじめの重大事態や児童生徒の自殺者数の増加傾向が続いており、極めて憂慮すべき状況にあります。加えて、「いじめ防止対策推進法」や「義務教育の段階における普通教育に相当する機会の確保等に関する法律」の成立等関連法規や組織体制の在り方など、生徒指導をめぐる状況は大きく変化してきています。

また、子どもたちの多様化が進み、様々な困難や課題を抱える児童生徒が増える中、学校教育には、子どもの発達や教育的ニーズを踏まえつつ、一人一人の可能性を最大限伸ばしていく教育が求められています。こうした中で、生徒指導は、一人一人が抱える個別の困難や課題に向き合い、「個性の発見とよさや可能性の伸長、社会的資質・能力の発達」に資する重要な役割を有しています。生徒指導上の課題が深刻になる中、何よりも子どもたちの命を守ることが重要であり、全ての子どもたちに対して、学校が安心して楽しく通える魅力ある環境となるよう学校関係者が一丸となって取り組まなければなりません。その際、事案に応じて、学校だけでなく、家庭や専門性のある関係機関、地域などの協力を得ながら、社会全体で子どもたちの成長・発達に向け包括的に支援していくことが必要です。

 現在、本協会は中学校103校、高等学校69校、中等教育学校1校および義務教育学校2校の合計175校の加盟校、また札幌近郊のオブザーバー校を含めると200校あまりの組織となります。さらに、札幌市小学校長会から本市11地区の各担当校長がオブザーバーとして区の研修会に参加しています。小・中・高校等の校種や公立・私立の学校区分を越えた教員が集い「情報連携」から「行動連携」に対応を進めることは、本協会に参加される教職員の教育観や指導観、指導力を高めることにつながります。

 本協会の事業は、第一に研修の充実を図っています。各地区の幹事研修会を年4回実施しています。区の警察署、児童相談所などからも参加していただき、区内の状況や各校の生徒指導の現状を交流します。また、年間4回の全市研修会、さらに自立支援施設等の施設見学を年1回実施しています。全市研修会では生徒指導上の喫緊の課題を踏まえて、そのテーマに高い識見を有する著名な講師の講演を実施しています。近年、札幌市でも教員の若年化が進み、中堅・ベテラン教師が身に付けてきた生徒指導のノウハウを若手教員に広く伝えていく必要があります。また、若手教員の研修会参加の機会を拡充することや、札幌市教護協会ホームページの周知を図るなど協会の取組を広く普及する広報活動の推進を図っています。

 第二に調査研究です。本協会は、施設巡視を実施しています。施設巡視には、地区研修会後に行う地区施設巡視、少年育成指導員と幹事で行う合同施設巡視、そして、警察署と常任幹事で行う特別施設巡視があります。それらは生徒の校外生活の現況把握に努めることが目的です。さらに、各校の「旅行的行事」や「学校祭や定期テスト」の日程及び地区の「神社例祭」等の実施日を調査して協会ホームページに掲載し情報共有をしています。この情報を基に、各校では、校外生活における他校生徒の動向を把握したり、修学旅行の自主研修等の行程を決める際の参考にしています。  最後に、毎年発行しております本協会の機関誌「はぐくみ」です。一年間の本協会の活動の報告書になっており、各種研修会の講演内容の記録を逐語形式で掲載しています。さらに、各地区の幹事から「自校の生徒指導に係る取組や課題」などについて寄稿していただき掲載しています。これらは個々の教員の生徒指導の資質や能力の向上を図るための貴重な実践資料であり、各校の生徒指導体制の充実に資する研修資料になっています。また、本誌は学校現場の状況を記載し取りまとめたものとなっているため、各関係機関においても分析や参考資料にも活用される大切な機関誌となっています。